大手ゼネコンの大林組が、日本を抜き、世界2位の経済大国となった中国から撤退する。中東の反政府デモの飛び火が懸念される民主化の遅れと同様に、建設市場の規制緩和が遅々として進まないことに業を煮やしたためだ。日本も含め世界中の企業が巨大市場に群がるが、リスクも高い。大林組の“英断”は、日本企業の対中戦略に一石を投じそうだ。
■大型案件から排除
「中国では、“食あたり”を起こした」
大林組の白石達社長は、中国での事業はもうこりごりと言わんばかりに、こう語る。
同社は、平成14年に中国政府が外資の参入規制を緩和したのを受け、翌15年に現地法人「大林組上海建設」を設立したが、4月にも閉鎖する方針だ。
経済成長による空前の建設ラッシュを背景に当初は年間50億円規模の売り上げを目指したが、実際は半分の約25億円にとどまっている。中国でのめぼしい実績は、昨年開かれた上海万博の「日本産業館」の建設ぐらい。売上高全体に占める中国の比率は0・2%にも満たない。
目算が外れた最大の理由は、依然として残る細かな外資への規制だ。
最大の障害が、ライセンス制度。すべての工事が請け負える「特級」から、ビルの階数で制限した1~3級までの4段階の区分が設けられている。
大規模ビルのほか、道路や鉄道などの大型案件を受注するには「特級」の取得が必要だが、外資には実質的に門戸が閉ざされ、大林組は、28階以下の中型ビルしか建設できない「2級」しか取得できなかった。
現地法人の資本金の最大5倍までしか受注できないという制限もあり、大型案件からは、ほとんど弾き出された。
■他社も続々追随?
さらに20年のリーマン・ショック後、中国政府は総額4兆元(約57兆円)に上る景気対策を発動したのに合わせ、「自国の建設業者に優先的に仕事を回すため、外資の締め出し傾向を一段と強めている」(業界関係者)という。
その結果、中国人が9割を占める現地法人のスタッフ150人の人件費すらまかなえず、実質的に赤字が続き、ついに店じまいを決断した。
大林組以外の日系ゼネコンも状況は似たり寄ったりだ。大成建設や鹿島は、40階以下の大型ビルまで建設できる「1級」の資格を取得したが、中国に進出する日系企業からの受注が主体で、受注額は年100億円程度にとどまる。
海外建設協会によると、日本のゼネコンの中国での受注額は21年度実績で493億円しかなく、海外受注全体に占める割合は7%に過ぎない。
「大林組に続き、撤退の動きが出てもおかしくない」(業界関係者)
業界では、追随を予測する声が絶えない。
■問われるリスク管理
「北米やオセアニア、東南アジアに軸足を置く。縮小均衡の国内の仕事だけでは将来的に社員の雇用を維持できない」
大林組の白石社長は、中国撤退後も海外事業を強化していく構えだ。
建設経済研究所の予測によると、22年度の国内建設投資は公共投資の激減などで、ピークの4年度の半分以下の40兆円を割り込む見込みだ。生産拠点の海外シフトによる国内投資の低迷や少子高齢化による住宅需要の減退で、民需も先細りが必至。
「典型的な内需型企業だったゼネコンの成長にも、海外事業の拡大が欠かせない」(証券アナリスト)
しかし、海外事業には大きなリスクを伴う。大林組では、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで鹿島とともに受注した地下鉄工事で、代金の未回収が発生。22年3月期に多額の損失計上を余儀なくされ、上場以来初めての営業赤字に転落した。
鹿島や大成建設など国内4社が受注した北アフリカのアルジェリアの高速道路工事でも、約1億円規模に上る代金が未払いとなっている。
大林組が見切りを付けた中国では、コロコロと変わる制度や技術の流出、合弁相手とのトラブルなど、日本企業が煮え湯を飲まされたケースは、枚挙にいとまがない。
「当局は反政府デモを抑えようと躍起だが、民主化ドミノが中国に波及する可能性を考慮する時期にきている」(大手メーカー首脳)との声も聞こえる。
大林組では昨年、米サンフランシスコとシンガポールに統括事務所を設け執行役員を配置するなど情報収集体制の強化を急いでいる。海外で稼ぐためのリスク管理が改めて問われている。
2011/03/07
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2011/03/07
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韓国大統領 月山明博(李明博)の…天皇陛下への「不敬発言」
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そんな馬鹿な話は通用しない。
それなら入国は許さないぞ。
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