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2012/11/16


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【中国】薄熙来解任に見る「微博時代」の権力闘争

source : 2012年5月発行「外交 vol.13」より jiji.com (クリックで引用記事開閉)
時事通信社北京特派員 城山英巳
かつてわれわれ北京特派員は、中国の指導部人事や権力闘争について、内部事情に通じた関係者に接触し取材するのが一般的であったが、ミニブログ「微博」(ウェイボー=中国版ツイッター)が登場して取材の手法が変わった。ネット市民(網民)もリアルタイムで情報を得ることができるようになった。党中央宣伝部はそうした状況で言論封鎖を行うべく徹底抗戦を行った。薄熙来解任事件を例に、その攻防を追う。

「武装警察や解放軍の幹部に『禁足令』が出ている」という内部情報を情報源から得たのは4月10日午後6時(北京時間)だった。中国の首都・北京の治安を守る武装警察などが職場に居残る、というのはただならぬ異常事態である。

筆者の頭によぎったのは、3月19日夜に降ってわいた「クーデター騒動」だ。「北京でクーデター発生」「長安街(北京のメインストリート)を軍用車が走っている」という噂が、3億人以上が利用するミニブログ「微博」で流れた。同月15日には、秋の共産党大会で最高指導部・政治局常務委員会入りが有力視されていた薄熙来が、重慶市トップの党委書記から解任。司法・公安権力を統括する周永康党中央政法委書記(政治局常務委員)が解任に反対し、クーデターを起こしたというのが噂の内容だ。

軍の情報に詳しい北京の消息筋はこう明かす。「噂は周が反乱を起こし、公安を動かしたため、軍が来たというものだが、本当に北京に軍が集まったという未確認情報もある」

ネット空間制した者が勝つ

筆者が北京の複数の党関係者に聞いたところでは、現在9人いる常務委員の中で胡錦濤国家主席、温家宝首相のほか、習近平国家副主席ら大半が解任を支持したが、薄の盟友・周永康は解任に消極的だった。さらに父親が元副首相を務めた薄と同じ高級子弟幹部グループ「太子党」が多い解放軍の中には、保守派の旗手だった薄のシンパが多いという。

結局、国営新華社通信は3月30日夜、北京市公安局が微博でデマを流した6人を拘束したと報道。それ以降、ネット上のデマ根絶に向けた大々的なキャンペーンが展開された。北京市公安局は1065人を拘束し、削除された書き込みは約21万件に達したと伝えている。

特に、解放軍内の引き締めが顕著だ。4月6日付の軍機関紙『解放軍報』1面に掲載された評論員文章は、あまりに論調が厳しかったため関係者に衝撃を与えた。

「あらゆる誤った思潮の侵入を断固抑えろ。声を乱さず、噂に惑わされず、暗流に動かず、断固として胡主席の指揮を聞け」

「暗流」というのが何を指すのか。「胡主席に反する、見えない動き」を指すのは確かだが、「軍内での薄支持の動き」を警戒しているとも深読みできる。

4月12日付の党機関紙『人民日報』は海軍政治委員・劉暁江(胡耀邦元総書記の女婿)の文章を掲載。「乱れた議論や噂話の流布を禁じる」と強調したが、軍として薄熙来を支持・同情する「デマ」を排し、胡錦濤の意向に従う方針を宣言したことは明らかだ。

中国の歴代王朝では、権力闘争やクーデターは宮廷(共産党では政権中枢「中南海」)の中で起こり、何が起こったか、その渦中にある権力者以外は知り得ない秘密だった。しかしネット時代の今は違う。権力闘争は、内部関係者や事情通を通じ、5億人が参加するネット空間に投げられ、即座に広まってしまう。

「党・国家が大問題に遭遇するたび、国内外の敵対勢力はこれに乗じて波乱を巻き起こすことは歴史が証明している」と警戒感を強めたのは『解放軍報』(4月9日付)だ。同紙は、意図を持ってデマを流布する者の目的が「(今秋に開催される)第18回党大会の開催を妨害するためだ」とまで明確に指摘している。

これまでは中南海の指導者を支配下に収めれば、権力闘争に勝利できた。しかし党大会を前に胡錦濤がしつこいまでにデマ根絶を訴え続けなければならないのは、今やネット空間も制さないことには、中国政治を司ることはできないという「新時代」を迎えている表れなのだ。

「宮廷政治」内側を傍観できた網民

北京特派員はかつて中国の指導部人事や権力闘争を取材する際、「共産党筋」や「中国筋」と呼ばれる内部事情に通じた関係者に接触し、話を聞くという伝統的手法を重視してきた。

今でもこの手法が取材の基本だ。しかし今回の薄熙来事件では中南海の指導者たちもネット情報に敏感なように、ネット市民(網民)も「微博」などを通じ、共産党内部で繰り広げられる権力闘争の内側を、リアルタイムで傍観できるようになった。

2月2日、重慶市政府は、「打黒」と呼ばれる暴力団一掃捜査を指揮した王立軍副市長が突然、兼任していた公安局長を解任され、別分野を担当する副市長に配置換えになったと発表。政治に敏感な網民たちは「異変」に騒然となった。

7日夜、重慶に隣接する四川省成都の米総領事館前。約70台の警察車両などが配置され、厳戒態勢が敷かれた。その後、微博では「王立軍が米総領事館に避難を求めたが、拒否されて当局に拘束された」という情報がどんどん転送されていくのだ。

当時、北京の中国筋の間でも「まさか米総領事館に駆け込むことはないだろう」という懐疑的見方が一般的だった。しかし8日午後に「成都米総領事館内部の情報によると、例の件は微博を信じていいよ」「成都警察の匿名警官から得た情報では、王立軍は米総領事館で庇護を求めたが、今朝拘束され、現在は北京にいる」というつぶやきが現れた。

この二つの情報は、独自報道で知られる『南方都市報』記者2人が別々に書き込んだものだ。メディア統制を行う党中央宣伝部は、王立軍事件に関して発生直後すぐに報道禁止令を出したため、独自に情報をつかんでも紙面に反映させられずに悔しい思いをしている記者は自分の微博につぶやいたのだった。

この記者のつぶやきが正確だったことはすぐ裏付けられる。米国務省が王立軍と総領事館員の面会を認めたのに続き、中国外務省報道官も9日夜、「王は米総領事館に1日滞在した」と発表せざるを得なくなった。

さらに微博上にはこんな書き込みもあった。「2月8日、成都北京ca4113、08:00─11:05、王立軍同飛進京的是安全部副部長邱進」。つまり2月8日、成都発北京行きの中国国際航空4113便で、国家安全省次官・邱進が王立軍を北京に移送する、という意味だが、この機密情報が、搭乗記録現物の写真、王や邱の身分証明書番号と共に暴露されるのだ。

その後、党中央弁公庁が薄解任の3月15日、全国の党組織に発した内部通知までもネットに登場した。後に本物だと判明するが、実は重慶市で16日に開かれた会議で読み上げられた内部通知を誰かが録音し、ネットに流したのだった。

内部通知などによると、王立軍は1月28日、薄一家と親密だった英国人実業家ニール・ヘイウッドが昨年11月に重慶で殺害された事件に薄の妻・谷開来が関与したとの疑いが強いと薄に通知。これに薄は激怒し、王を公安局長から外し、身の危険を感じた王は2月6日、米総領事館に行き、庇護を求める、という経緯をたどるのだ。

胡主席は9日、指導幹部の外国公館駆け込み事件は「新中国建国以来で初」と危機感を示し、最高意思決定機関・政治局常務委会議を開催、調査チーム設置を決定。会議終了直後、胡自らが薄に電話し、「重慶での施策は中央を通した上で行え」と伝えた。

これと並行して胡指導部は、米総領事館に駆け込んだ王と、同館で交渉した薄の右腕・黄奇帆重慶市長を秘密裏に北京に呼び、事情聴取している。10日夜、重慶に帰任しようと北京空港の貴賓室にいた黄市長は知り合いとばったり会う。この人物は即座に微博に「重々しい表情の市長は北京に来て事をこなし、急いで帰っていった」とつぶやいた。

胡錦濤指導部VS保守派サイトの攻防

網民と党権力の攻防がピークに達したのは、冒頭で触れたように厳戒態勢が敷かれた4月10日夜。午後11時、国営中央テレビや国営新華社通信は一斉に、薄が重大な規律違反に関与したとして政治局員と中央委員の職務を停止し、汚職を扱う党中央規律検査委が本格調査に乗り出すと伝えた。

しかしこの日夜、微博上で薄熙来に関する新発表が出るとの噂が相次ぎ現れ、黒竜江省紙『ハルビン日報』は午後6時に微博で「今夜23 時に重大ニュースを発表する」と秘密情報をつぶやいた。公式メディアによる「予告」はすぐ削除され、同紙の微博アカウントにもアクセスできなくなった。

秘密のベールに包まれた「宮廷政治」の一端を体感できた網民は歓喜した。これに対し、ネット空間争奪戦に挑む党中央宣伝部は、ネット空間で「薄熙来支持」の言論が浸透することを恐れ、微博で薄に関する議論を完全封鎖しようと徹底抗戦に乗り出した。

微博では薄熙来関連の単語を検索しようとしても検索できない状態が続いた。網民は、薄熙来(Bo XiLai)を略した「BXL」や「薄」と同じ意味の「不厚」などの「隠語」を使って当局の検閲から逃れようとするが、「敏感詞」(敏感語)として検索不可になり、当局の意に反した書き込みがあれば、即座に削除されてしまう。

重慶で農民を新市民に変える戸籍改革を断行したり、両親が都市に出稼ぎに行って農村に取り残された「留守児童」のために毎日卵と牛乳を贈ったり、中央指導者が実行しなかった格差是正策を断行したのが薄熙来であり、薄は重慶の庶民や若者には絶大な人気を誇った。

改革派学者もこう解説する。「薄は平等・公平という社会主義の本来の姿を取り戻そうとした。人気も実行力もある。胡主席らは薄が最高指導部入りすれば、指導部の安定を損なうと危惧し、薄を切り捨てたのだろう」

ネットで薄熙来を支持したり、同情したりする民意が相次ぐ中、中国当局は4月6日、薄を一貫して支持してきた保守系サイト『烏有之郷』『毛沢東旗幟網』を封鎖する強制措置に乗り出した。それでも4月12日、『烏有之郷』には突然、「何が何でも薄熙来を支持する」というスローガンが現れたという。すぐ削除されたが、ネット上では今も、薄の評価をめぐるせめぎ合いは続く。

これに対して胡指導部は『人民日報』『解放軍報』『重慶日報』など権威ある新聞を使い、「胡錦濤同志を総書記とする党中央に思想や行動を一致させろ」と連日伝え、伝統的宣伝により言論空間を支配しようと躍起だ。『重慶日報』(4月12日付)は「党中央の正確な決定は、3300万人重慶人民の一致した支持を獲得した」と伝えたが、微博では冷ややかな声が漏れている。

ネットで共産党の意に反した情報が流れるのは、新聞・テレビが共産党宣伝のための道具にすぎず、党中央がメディア統制を強化するなど情報公開を否定するからだ。国民の欲しがる情報を隠すから、デマやうわさがはびこるのである。その結果、デマが流れて党内の動揺が広がるのなら、それは、いつまでも言論の自由を許さない共産党が自分で自分の首を絞めている、ようなものであることを中国指導部も認識すべきであろう。




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そんな馬鹿な話は通用しない。
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手法 用例 手法 用例 手法 用例 手法 用例
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ブーメラン 坂本龍一・山本太郎などの著名人を使い原発管制報道に対する「自由の闘士」を作り出し国力を削るために「愛国者」を装った抗議運動を展開する… 心理的ショック 日本は豊かなのだと錯覚させ更に絞り取るために「飢餓」を伝え…日本は悪い事をしたと日本人を自虐的に思い込ませるために繰り返し「戦争」を伝えます… 半真実 「マニュフェストが実現出来なかったのは自民党の負の遺産のせいで民主党がダメだった訳ではない…」のように嘘の中に一面的な真実を織り込み全体を真実に見せる… フィードバック 「支持政党無しの無党派層は過去最高」という結果を得るために世論調査の回答項目に「民主党もダメだけど自民党もダメ」という項目を設定し全体の意見に偽装する…
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