source : 2012.11.11 産経ニュース (ボタンクリックで引用記事が開閉)
野田佳彦政権が、人権侵害救済機関「人権委員会」を法務省の外局として新設する「人権委員会設置法案」(人権救済法案)を閣議決定して衆議院に提出した。
法案は、言論統制や新たな人権侵害につながりかねないと批判されている。原案通り成立すれば、将来に禍根を残す。決して急いではならない。
人権委員会は、持ち込まれた事案を調査し人権侵害と認められれば、勧告や告発、仲裁などの措置を講じる。政府から独立した「三条委員会」となるから、公正取引委員会と同様、権限は強大だ。
何が人権侵害に当たるかなど重要な判断を誤れば、その権限が不当に使われ、逆に人権侵害を招いたり、言論や表現の自由が阻まれたりする危険をはらんでいる。
恣意(しい)的な解釈や運用を避けるには、人権侵害行為を厳格に定義しておくことが欠かせないはずだ。にもかかわらず、「特定の者に対し、不当な差別、虐待その他の人権を違法に侵害する行為」としているだけで、曖昧この上ない。
自民党の安倍晋三総裁らがかねて、「大切な言論の自由の弾圧につながる」と懸念してきたのも当然だろう。だが、政府与党には、そうした不安を払拭しようという十分な努力はみられない。
政府与党が、既成事実を重ね、なし崩し的に法案成立を図っているようにみえるのも問題だ。
先の通常国会で、政府は法案提出見送りをいったんは表明した。だが、会期末直前になって推進派の巻き返しが強まり、閉会後に「法案内容を確認する」(藤村修官房長官)ためとして、最初の閣議決定を行った。一部の慎重な閣僚が外遊で不在のすきを狙ったかのような姑息(こそく)なやり方だった。
解散風が吹きだしたこの局面での法案提出は、選挙の人気取り政策にしたい思惑からではないか、という疑念も拭えない。
法案の会期内成立は難しいとの見方もある。しかし、本来、懸念を払拭するための修正が必要な重要法案である。それを駆け込み提出して採決に持ち込むような進め方は、言語道断だ。
人権の尊重は普遍的な大原則である。だが、人権救済法案は、自由な社会を維持する上で弊害が多い。提出された以上、国会は「人権救済」の美名に惑わされることなく、法案の危険な本質を見据えて、慎重に取り扱うべきだ。
source : 2012.09.20 産経ニュース (ボタンクリックで引用記事が開閉)
野田佳彦政権は、新たな人権侵害や言論統制を招きかねないとの批判が出ていた人権侵害救済機関「人権委員会」を法務省外局として設置する法案を閣議決定した。
今回の閣議決定は不可解な部分が少なくない。藤村修官房長官は「政府として人権擁護の問題に積極的に取り組む姿勢を示す必要がある。次期国会提出を前提に、法案内容を確認する閣議決定だ」と強調した。
だが、国会提出時には再度、閣議決定を経る必要がある。人権救済法成立に前のめりな党内グループに過度に配慮しただけではないのか。同法案に慎重な松原仁国家公安委員長の外遊中を狙った節もあり、疑念がつきまとう。
人権委員会は政府から独立した「三条委員会」で、公正取引委員会と同様の強大な権限を持つ。調査の結果、人権侵害と認められると告発や調停、仲裁などの措置が取られる。
最大の問題は、人権侵害の定義が相変わらず曖昧なことだ。「特定の者」の「人権」を「侵害する行為」で憲法違反や違法行為を対象とするというが、これでは何も定義していないに等しい。恣意(しい)的な解釈を許し、言論統制や萎縮、密告による新たな人権侵害を招きかねない。
こうした法案への疑念や危惧、抵抗感は国民は無論、与党や閣内にも根強い。にもかかわらず、いま行われている民主党代表選、自民党総裁選で、この問題が問われていないのは重大な欠落だ。
閣議決定に対し、自民党の林芳正政調会長代理は「なぜ、この時期なのか」と政府の意図に疑問を投げた。安倍晋三元首相も法案に対し「大切な言論の自由の弾圧につながる」と指摘した。石破茂前政調会長は以前、法案に反対としながらも、救済組織の必要性は認めていた。
政府・与党は先の通常国会終盤にも法案提出に意欲を示したが、批判を受けて見送ったばかりだ。国論が二分している法案を閣議決定して既成事実化するやり方は、到底適切な手続きといえない。
自民党内にも人権法案に前向きな意見もあるが、言論統制とは無縁の自由な社会を維持するために果たしてこの種の法案が必要なのか。民主、自民両党首選の立候補者は少なくともこの問題への立場を鮮明にし、国民的な議論を積み重ねてもらいたい。
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