source : 2012.12.16 CNN.co.jp (ボタンクリックで引用記事が開閉)
中国の新しいリーダーとなった習近平(シーチンピン)総書記が先に報道陣に対して語った言葉の中で印象的だったのは、中国人はより快適な生活環境や良好な自然環境を望んでいるという一言だった。習氏は、この望みをかなえることは、多くの人々も同意する、国としての努力目標であると述べている。
しかし、中国はその実現のために、経済の急成長と、大気や水などの環境汚染の抑制の両立というほとんど不可能な課題に直面することとなる。
世界の人口の20%を抱える国が世界全体の水資源の6%しか保持していない上に、性急で長期的な視点が不十分な開発も加わり、中国の深刻な水問題はさらに悪化している。国連によると中国は、極端な水不足に直面する13カ国のうちの1つである。
力強い成長により世界第2の経済大国となった副作用で、揚子江の水は赤く濁り、山東省などの穀倉地帯は慢性的な干ばつに悩まされている。
子どものころに泳いでいた川の水が汚染のために今では農業用水にも使えないなどと嘆く声もよく耳にする。
最近では、沿岸部で発展中の浙江省寧波市で、大規模な公害反対運動により地元当局が化学工場の拡張を撤回したこともあった。しかし、これは例外的な話で、水問題は今後長期にわたる悪化が懸念されている。
専門家の予測では、中国の水需要はやがて8180億立方メートルに達するが、供給可能量は6160億立方メートルに過ぎない。北京での1人当たりの水の供給可能量は100立方メートルで、国連が慢性的な水不足か否かの判断基準としている1人当たり1000立方メートルを大きく下回っている。
香港のNPO「チャイナ・ウオーター・リスク」の水問題専門家、デブラ・タン氏は、米国では1人当たりバスタブ125杯分の水があるが、中国では25杯分しかないと説明している。
世界銀行によると、中国では現在、安全に飲める水を入手できない人が3億人も存在し、そのために毎年約6万6000人が命を落としており、水質汚染によるコストは推計で220億ドル(約1兆8000億円)と国内総生産(GDP)の約1.1%にも達している。
中国政府は水不足解消のために30%の節水を目指しているが、目標達成は困難だと見られている。環境保護団体ネーチャー・コンサーバンシーのマシュー・ダーニン氏は、人口増加などによる水需要の増加や問題のさらなる深刻化を予測している。
中国で節水が進まない原因のひとつは、水不足にもかかわらず水道料金が安過ぎるためだ。
水問題専門家のタン氏によれば、水の85%を使用する工業および農業部門に的を絞って水の使用と水質汚染を減らすべきという。
中国政府は2009年から水道料金の値上げを続けているものの、タン氏は「水道料金は3~5倍であってもおかしくない」と指摘。節水を促進する方法として、水道料金の引き上げを提言する。
環境問題などに取り組むNPOを北京で運営するマ・ジュン氏は、悪質な違反企業のブラックリストを作成・公表することで環境汚染(特に水質汚染)を抑制することを目指している。
マ氏によれば、環境保護に関する法律の適用が厳格ではないため、訴訟によって環境保護を図ることはほとんど不可能ではあるものの、ブラックリスト化により企業などに社会的圧力をかけることで一定の成果を上げているという。
マ氏は「これまでにブラックリストに載った企業のうち約720社が、自分たちが間違っていることに気づき、どうやって問題を解決できるのかを認識した」と語る。
ネーチャー・コンサーバンシーのダーニン氏は、水不足に対する簡単で即実行可能な改善策として、中国を含む多くの国で何億キロにも上る水道管の漏水を直すことを提唱している。
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