source : 2012.12.17 産経ニュース (ボタンクリックで引用記事が開閉)
3年4カ月前とは正反対の屈辱だった。都内のホテルに設置された民主党開票センター。16日午後11時20分、野田佳彦首相はうつむき加減で壇上に上がり、会場に一礼した上で、立ったまま反省の弁を口にした。
「政府や党でとことん一生懸命働いてくれた同志、あるいは将来が嘱望される有為な人材を数多く失った。痛恨の極みだ」
女房役の藤村修官房長官をはじめ現職閣僚が8人も落選した。一時は「陰の首相」とさえいわれた仙谷由人元官房長官も議員バッジを失った。極めつきは党創設時からの中心人物、菅直人前首相が選挙区で敗れるという波乱。
歴史的な政権交代を果たした前回の熱狂が嘘のような大敗北。現実は残酷だ。首相の会見が終わってもなお、当選者名に赤いバラを張るボードは真っ白なまま。党職員は「負けすぎだ」と絶句した。
■バラバラ体質嫌気
それにしても、ジェットコースターのような浮き沈みの激しさだ。民主党は衆院選で平成12年に127議席、15年に177議席と膨張を続けたが、17年の郵政選挙では113議席と大敗。しかし、21年の総選挙では308議席を獲得し念願の政権交代を果たす。
でも、それは「バブル」だったのかもしれない。野党時代の民主党は、与党・自民党への批判をしていれば一定の支持を得ることができた。だが、今回の選挙は初めて「与党」として臨んだ。国民の政権への批判は直接、自分たちへの批判となって突き刺さった。
今回の大敗の最大の要因は、一言で言えば政党としての力不足。野党としては存在意義はあるが、政権政党の資格はなかったということだろう。
細野豪志政調会長は「前回マニフェスト(政権公約)が実現できなかったことと、党の分裂が影響した」と敗因を語った。確かに、政策的な失敗も大きかったが、ここまでの大敗北を招いた原因は、民主党特有の「バラバラ」体質に国民が嫌悪感を示したことが大きい。
開票が進んでいる最中、輿石東幹事長の周辺からはさっそく「執行部総退陣は当然だ。『集団自殺』の引き金を引いたのは首相だ」との声が漏れた。何か失敗があると、必ず内部抗争を始める。こうした内向きな体質に、国民が「ノー」を突きつけたのが今回の選挙といえるのではないか。
■功労者を見放した
振り返ると、国民の期待を背負って約3年4カ月前に登場した鳩山由紀夫元首相は米軍普天間飛行場移設問題で迷走し、時の幹事長、小沢一郎氏は政府と党の「政策決定の一元化」の名のもとに助け舟を出さなかった。鳩山氏を事実上、見放したに等しかった。
その後、政権を担った菅氏はマニフェストに書いていない消費税増税を言い出し、22年の参院選で大敗。参院で与党は過半数割れに陥り、国会運営で主導権を自民党に奪われていく。マニフェストは変質し、マニフェスト至上主義の小沢氏との対立は激化。野田政権下で小沢系はごっそりと離党した。
「民主党には代表を支える文化が育っていない」
野党当時、民主党の多くの幹部はそう言って嘆き、与党になればリーダーの足を引っ張るその体質も変わると思われた。
だが、自民党が与党時に見せていた、権力を手放さないために最後は結束して事に当たるという文化が育つことは、ついになかった。しかも、党をまとめ切る力量に欠けるリーダーばかりとあって信頼は得られなかった。
「対決」か「純化」か
民主党という政党は今後、どうなるのか。考えられる道は2つある。
1つは、民主党離党組が大量に所属する日本未来の党などと連携、または合併する道。この場合、来年夏の参院選に向け、民主党は自民、公明両党との対決路線を歩むことになるだろう。ただ、これでは「選挙互助会」的政党という、これまでの歴史の繰り返しだ。
もう1つは「純化路線」を突き進み、自公両党との協調路線を模索する道。この場合、党の立ち位置を明確にできれば再生も可能だ。だが、自公両党の補完勢力に成り下がり、縮小傾向に歯止めがかからなくなることも予想される。
「民主党が何のために存在するのか、そのことそのものが厳しく問われた」
細野氏はテレビ東京の番組で今回の敗北をこう総括した。党内では今後、後継の代表を選ぶ動きが本格化する。ここで党再生への方向性を誤れば、民主党という政党の存続はない。
source : 2012.12.18 産経ニュース (ボタンクリックで引用記事が開閉)
大敗を喫した虚脱感にさいなまれながらも、再生への重い腰を上げなければならない。民主党内では17日、野田佳彦首相の後継を選ぶ代表選に向けた動きが静かに始まった。
「全くの白紙の状態だ」
民主党の前原誠司国家戦略担当相は17日、京都市内で記者団に、自らの代表選出馬についてこう語るだけだった。党内情勢を見極めたいのが本音なのだろう。
だが、前原氏が再登板すれば、党は再び分裂含みになりかねない。前原氏は政界再編論者として知られ、最近出版した自著「政権交代の試練 ポピュリズム政治を超えて」(新潮社)でも「『保守の再編』を実現したい」と記している。政界再編に向け「純化路線」を強化する可能性は高い。
同じく出馬が取り沙汰されている細野豪志政調会長は、前原氏と正反対の立場に立つとみられる。党内に敵が少ない細野氏は、輿石東幹事長の「党内融和」路線を継承することが考えられるからだ。
17日夜に都内で開かれた民主党議員の政治資金パーティーでは「必ず民主党を再生する。この再生を支える一人になりたい」と出馬に前向きとも受け止められる発言をしてみせた。
もっとも、9月の代表選では若手に出馬要請を受けながらも、最終的に断念した経緯がある。このため細野氏に近い議員ですら「民主党が危機的状況だった3カ月前に出ずに、3カ月後にやっぱり出ますというのもなあ」と漏らす。
ともあれ、路線の異なる2人が出馬すれば、ただでさえ衆院で中小政党に転落した民主党に亀裂が入るのは確実だ。そこで浮上するのが岡田克也副総理。野田首相が道筋をつけた社会保障・税一体改革を完遂させるとの大義も成り立つ。
ただ、この3人のいずれも、衆院選大敗の共同責任は免れない。こうした中、馬淵澄夫政調会長代理は17日、奈良市内の街頭で「組織を再生させるべく先頭に立ち全身全霊で取り組む」と出馬への意欲を示した。
火中のクリを拾うのは誰か。22日に告示、即日投開票という代表選日程は決まったが、ある政務三役はさっさと新代表を選出しようとする動きに対し、投げやり気味にこう語った。
「総括が先だ。参院選で勝てる奴は誰かとか、やっつけ仕事じゃないんだ。もう与党じゃないんだ」
党内には虚脱感といらだちとが交錯している。
source : 2012.12.19 産経ニュース (ボタンクリックで引用記事が開閉)
衆院選惨敗から一夜明けた17日夜。都内の料理屋に民主党の前原誠司国家戦略担当相のグループ議員6人が集まった。「衆院選の慰労会」との名目で前原氏が声を掛けた会合では、22日の代表選が話題になった。
「代表選をやればまた党内でごたごたやっているように思われる」
「候補者を1人に収(しゅう)斂(れん)させて、衆院選の総括を丁寧にやっていけばいい」
候補者一本化を求める声に前原氏は「そういうのもいいよね」と理解を示した。前原氏のグループにはやはり代表選への出馬が取り沙汰される細野豪志政調会長のグループと掛け持ちしている議員がいる。
衆院選前に約40人だったグループ議員は15人前後に激減。党内最大勢力の前原グループすら2人分の推薦人(各20人)を賄うのは、困難となった。
衆院選惨敗の結果、衆院は57人に減る。代表選に勝つには88人を擁する参院の支持が欠かせない。だが、そこは、いまだに輿石東幹事長が仕切ろうとする「奥の院」でもある。
衆院選の陣頭指揮に当たり、惨敗を招いた責任者が党再生をかける次期代表選でもキャスチングボートを握るという矛盾を前に、「ポスト野田」候補らの出馬に向けた動きは鈍い。
その輿石氏は18日、代表選候補の擁立について「みんなで考えればいい」と周囲に語った。最後は参院を牛耳る自身への「輿石詣で」が始まるとあて込んでいるかのようだ。
だが意中の候補がいないわけではない。党幹部によると、輿石氏は細野氏擁立論が党内で優勢になれば、同氏を推す構えだという。
細野氏は、もともと輿石氏とは相性がよく、党内融和路線を取るとみられている。若手からの待望論を待って気心が知れた細野氏に党再建を託すというシナリオが透けてくる。
輿石氏にとっては、来年夏の参院選での勢力維持が最重要課題。衆院選では輿石氏の不在中に幹部会合が開かれることもあり、輿石氏は参院幹部に「衆院は参院の重要性を分かっていない」と愚痴ることもしばしばだった。
民主党はいかに純化し、存在感を示していくのか。党存亡に向けた代表選に、現状維持を志向する輿石氏の壁が重くのしかかる。
「代表選の前に総括をやって何か生まれるのか?」。18日夕、輿石氏はこう言い残し、国会を後にした。
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