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2012/09/23


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【ドラマ・企業攻防】チリ銅山めぐり三菱商事・三井物産 リスク乗り越え資産獲得

source : 2012.09.23 産経ニュース (クリックで引用記事開閉)
 三菱商事と三井物産を巻き込んだ資源メジャー同士の法廷闘争が決着した。チリの銅鉱山権益をめぐり、英資源大手アングロ・アメリカンと世界最大の銅メジャーであるチリ銅公社コデルコが対立していたが、アングロと三菱商事が共同保有する銅鉱山運営会社に、コデルコ・三井物産連合が29・5%を出資することで落ち着いた。総合商社にとって、優良な資源権益は今後の成長に不可欠。訴訟リスクにさらされながらも、互いに世界最大級の優良資産獲得に成功、次代の成長の糧を手にした。

■驚愕の打診

「AASの株を買わないか」。三菱商事の西浦完司執行役員は突然、アングロからこう打診された。時期は明らかにしていないが、昨年春から夏にかけてとみられる。AASはアングロの子会社で、チリの銅鉱山運営会社アングロ・アメリカン・スールのことだ。

西浦氏は驚愕(きょうがく)した。AASは未開拓鉱区を含め、世界最大級の有望案件を保有する。アングロに手放す気配はなく、“門外不出”と思われていたからだ。

銅は電線や電気製品、鉄道、通信などインフラ整備に欠かせない。新興国の経済成長で需要はうなぎのぼりだ。三菱商事は「こんなチャンスは二度とない」(西浦氏)と判断、昨年11月にAAS株24・5%を53億9千万ドル(約4200億円)で購入した。法廷闘争の始まりだった。

AAS株をめぐっては、昨年10月、三井物産からの融資を元手にコデルコが49%を取得すると公表した。1970年代からAAS株式の49%を取得できる権利を持っており、銅価格の高値が続く今がチャンスと権利行使に動いたのだ。

これに対し、アングロは70年代当時とは状況も株主も異なり、コデルコの権利は無効と主張。三菱商事に購入を打診したのも、コデルコによる買収の動きを事前に察知したからだった。

結局、チリ政府の意向も働き、今年5月から両社は和解交渉に入ることで合意。最終的に三菱が4・1%をアングロに売り戻す条件を飲み、アングロがその分と自社保有分を加えた29・5%をコデルコ・三井陣営に譲渡することで8月末に決着した。

■譲れない理由

三菱商事の最終的な投資額は45億ドルとなり、同社にとっては01年のローソンへの出資約2千億円を大きく上回る過去最大規模に膨らんだ。三井物産も最大30億ドルを投じる。ある市場関係者は「大手商社同士で価格をつり上げたことは否めない」と批判する。

だが、両社ともこの案件を譲れない理由があった。

「銅事業でトップ10入りの目安になる年30万トンの持ち分権益を目指す」。三菱商事の最大の狙いは銅事業を原料炭に次ぐ収益の柱に育てることだ。10年時点の権益数量は世界で22位にとどまる。だが、AAS分を含めると12年末で26・5万トンとなり、トップ10入りが射程圏内に入る。

三菱商事の収益は、豪州で豪英資源大手BHPビリトンと折半出資する原料炭事業が屋台骨だ。最終利益で1千億円程度を稼ぐ“優等生”だが、昨年からストライキの長期化に見舞われ、豪州一極集中のリスクも顕在化した。

5大資源メジャーの一角であるアングロと組めば、銅事業を大幅に拡大できる。三井物産が先行する鉄鉱石でも新たな関係を築くチャンスが出てくる。

一方、三井物産は「世界最大の銅メジャーのコデルコは何としても組みたい相手」(高橋康志執行役員)とコデルコと提携することにこだわった。提携分野を銅だけでなく、モリブデンやリチウムなど他の資源にも広げ、さらには鉱山作業車のタイヤ供給など非資源分野にも拡大する狙いだ。

■冷ややかな見方も

資源国とのパートナー戦略には成功モデルがある。世界最大の鉄鉱石メジャー、ブラジルのヴァーレとの戦略提携だ。03年の提携後、肥料原料に欠かせないリン鉱石の共同開発や資機材調達など全15営業部門中11部門でのヴァーレとの事業展開につなげた。トップから若手社員までの重層的な人材交流も重ねている。

三井物産の飯島彰己社長には「ヴァーレに続くコデルコとの戦略提携で、資源国で資源以外のビジネス拡大につなげたい」との思いがある。昨年8月以降、この1年で飯島社長とチリのピニェラ大統領との会談は3回に及び、着々と布石は打ちつつある。

ただ、ライバル商社のなかには「あれだけの高い買い物はうちには無理」と、両社の戦略を冷ややかに見る向きもある。“高値づかみ”との批判を受けてまでこだわったチリの銅権益。この事業でどう成果を生み出すか、両社の事業戦略が問われるのはこれからだ。




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